認知症介護はタヌキとキツネの化かし合い?

ほし未有希

2017年07月29日 10:00

私が母の異変に気付いたのは、2011年3月11日大震災の直後の計画停電の時でした。勤務先が停電の範囲になるということで、仕事にならず早々に帰宅。久しぶりに見た両親の食卓に愕然としたんです。
あんなに料理上手で近所の人からも「教えて~」と言われていたのに、作った物が1つもなかったんです。昆布の佃煮、沢庵、味噌汁までインスタントでした。冷蔵庫の中は賞味期限切れの食品であふれ、ギュウギュウ詰め状態。

実はそれまでも変だな、おかしいなと思うことは度々あったんですが、仕事を大義名分に見て見ぬふりをしてきたんです。現実を目の当たりにしいよいよその時が来たか!と覚悟を決めるしかありませんでした。

介護離職し、まず手掛けたのは自分の持ち物の断捨離と部屋の改造。なにしろそれまでは家にいる時間より会社にいる方が長かったので、寝られればいいくらいの部屋だったんですが、離職したらまったく逆です。使い勝手のいい自分好みの部屋にしたいとがんばりました。

台所は母が料理をしているうちは変えられませんでしたが、母に料理禁止令を出してからはもう、やりたい放題(^▽^;)ゞ
いろいろな物をどんどん捨てました!食器も普段使い、来客用をやめ揃っていないものは全部廃棄。食器棚に入らない物は廃棄。今まで使ったことがない物も廃棄。この狭い家のどこにこんなにたくさんの物があったんだと、思うくらい出てきました。

それだけ捨てても困ることはありませんでした。が、1つだけ・・・


時間の経過とともに、父も母も食べる量が少なくなり、食べられるものも限られてきます。器が大きいとつい盛りも多くなってしまうので、小さめの器が必要になってきました。また、柔らかく調理しなければならないので揚げ物、炒め物はNG。となると煮物ばかりになり、レパートリーが貧困な私の料理に
「またこれー」と母が突っ込みを入れてきたので


「そうだ!器を変えてみよう」
 
そう閃いたとき、捨てた器のことがチラッとよぎりましたが、 まさかこんな時がくるとは思ってもないので仕方ないですね~
ダイソーで父と母の分、2つづつ調達しました。
笑い話のようですが、これでいつもと違う料理に見えたようです。
さていつまで騙されてくれるやら
認知症介護はタヌキとキツネの化かし合いでもありますね~

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